税理士は「すべての税金」の専門家ではない!?
税理士についてのよくある勘違いに「税理士は税金のことについて何でも知っている」という思い込みがあります。
結論からいうと、税理士は「全ての税金」の専門家ではありません!!
どういうことかというと、税理士になるためには全ての税法について勉強する必要がないということです。
実際には国税で働いていたら資格がもらえちゃう制度や、会計士や弁護士だったら税理士資格がもらえちゃう制度もあるので、税法の試験を一切受けずに税理士になる人も全体の半分くらいいます。
ちょっと解りにくいので、2つの例を見てみましょう。
「こんな感じでも税理士になれちゃうんだ。。」とビックリする方もいるかもしれませんね。
ケース① 相続税専門の税理士:Aさん
相続税の申告をやりたいけど相続税法の試験は難しいから、固定資産税法と酒税法を選択
Aさんが合格した科目
- 簿記論
- 財務諸表論
- 法人税法
- 固定資産税
- 酒税法
税理士資格取得後、Aさんは「相続税専門の税理士」として独立開業
税理士になるには、全ての税法を勉強する必要がないし、どの税目に合格して税理士になったとしても、どの税金の業務を引き受けても良いことになっています。
ケース② 勉強をしたくなかった税理士:Bさん
大学生の時にゼミで簿記を勉強したので簿記論・財務諸表論を受験し合格。その後なんとか酒税法には合格したが、そんなに勉強はしたくないため、働きながら大学院に行って2科目免除、晴れて税理士資格取得
Bさんが合格した科目
- 簿記論
- 財務諸表論
- 酒税法
税理士資格取得後、Bさんは税理士として企業の税務顧問を請け負っている
試験に挑むのをやめて確実に資格を取得するために掛かった対価は、約200万円と2年という時間でした。言い換えれば、税理士資格の半分は200万円で購入可能なのです。
本来であれば、税理士になるためには会計学2科目(簿記論・財務諸表論)の他に、税法3科目(所得税法、法人税法、相続税法、消費税法、酒税法、国税徴収法、住民税、事業税、固定資産税の中から3つ)に合格する必要があります。
しかし、現実には5科目合格している税理士は少数であり、半数以上の税理士は試験免除制度を利用して税理士資格を購入しているのです。
本来は試験に合格して税理士資格を取得するのが筋ですが、今となっては本筋よりも迂回ルートで税理士になる方が圧倒的に多い…これが税理士試験制度の実情です。
ここが変だよ税理士試験
税理士になる方法は大きく分けると、税理士試験に合格して税理士になる方法と税理士試験を回避(免除)して税理士になる方法の2つがあります。
税理士試験に合格して税理士になる方法
一般的なイメージ通りの試験勉強をして試験に合格する方法です。
会計学に属する2科目と税法に属する科目のうち3科目、計5科目に合格することで税理士資格を取得することができます。
会計学に属する科目 (この2科目) |
簿記論、財務諸表論 |
---|---|
税法に属する科目 (この中から3科目) |
所得税法、法人税法、相続税法、消費税法又は酒税法、国税徴収法、住民税又は事業税、固定資産税 (所得税法又は法人税法のいずれか1科目は必ず選択しなければならない) |
5科目の試験に合格すると税理士資格を取得できるワケです。
税法の種類は9つほどありますが、このうち3つに合格すればいいのです。
9つ全ての税法に合格する必要はありませんし、テキストを買う必要すらないのです。
つまり、税法の3分の1だけ勉強すれば税理士になることができちゃうのです。
税理士試験を回避(免除)して税理士になる方法
さらに税理士資格には、試験を受けることなく税理士資格を取得できる「免除」制度があります。
弁護士か公認会計士の資格を持っている場合は、申請さえすれば無条件で税理士資格を取得することができます。
また、大学院へ通うことで、最大3科目を免除することができます。
税務署へ勤めている人は、決まった年数勤務することで試験を免除されます。
該当者 | 免除される科目 |
---|---|
弁護士・公認会計士 | 全科目 |
大学院 | ・会計学の学位を取得した人は会計学の科目 ・税法の学位を取得した人は税法の科目 (修士論文→2科目免除、博士論文→3科目免除) |
税務署に10〜15年以上勤務した人 | 税法系の科目 |
税務署に23年以上勤務し、指定研修を修了した人 | 会計系の科目 |
どの税目に合格しても一律で”税理士”
税理士試験の大まかな枠組みは上記の通りですが、この試験制度を見て「あれ?」と疑問が浮かびませんか?
そうです、税理士はすべての税法の勉強をしていなくても”税理士”なんです。
だから”○○税の専門税理士”はすべて自称なんです。
医者の場合は試験に免除制度など無く、研修医の時に内科や外科等、全ての分野を一通り勉強した後に自分の進むべき分野を決めてその専門医となるのが一般的です。
なので医者には「内科医」や「眼科医」といったように、それぞれ専門分野があることは皆さんご存知だと思います。
ところが税理士の場合はかなり事情が違います。
- 試験は免除制度を利用する税理士が非常に多い
- 税金について全ての分野(税目)を勉強する必要はない
- 税理士資格取得後はどの分野(税目)の専門家を名乗っても良い
これが日本の税理士のリアルです。
税法の試験は酒税法しか合格していなくても”税理士”、5科目合格していても”税理士”、どちらも資格取得後は等しく”税理士”なのです。
医者であれば、眼科医の先生が外科の手術は絶対に請け負わないのは、自分の専門外だからですよね。
しかし税理士の場合は誰もが「相続税専門の税理士」と名乗ることができ、実際に申告の依頼を受けることが出来てしまうのです。
相続税専門の税理士=相続税の申告経験が豊富な税理士
「相続税専門の税理士」という言葉の意味は「相続税法に合格した税理士」という意味ではないことはご理解頂けたと思います。
さらに、現在の日本における税理士試験についてもご覧いただきました。
一昔前は大学院へ行って科目免除で税理士になることを恥じる傾向にあったそうですが、現在では「とりあえず税理士資格を取ったもん勝ち」という風潮があり、試験勉強をして合格する人の2倍以上もの人が試験免除制度を利用して税理士になっています。
では、どのように本物の「相続税専門の税理士」を選んだら良いのか。
それは間違いなく相続税の申告実績であり、数です。
試験に合格しているか否かではなく、どうして実績が重要なのでしょうか?
例えば、学生時代にテストで良い点数を取った教科があったとしたら、その内容を今でも覚えていますか?
それよりも、毎日仕事でおこなっている業務の方がより鮮明に覚えていて、より詳しくないですか?
ほとんどの人が毎日仕事でおこなっている業務についての方が、学生時代のテストのことよりもより鮮明に覚えているのではないでしょうか。
つまり、学生時代のテストと同じように、税理士試験である税目に受かっているから今もその税目についての専門性があるかといえば、それは違うということなのです。
やはり専門性とは、どれだけその分野における経験値があるのか、どれだけ日常的にその分野に触れているのか、ということなんだと、相続税業界を見ていて本当にそう思います。
税理士の試験制度・免除制度について疑問に思う点は当然ありますが、私たちが税理士を選ぶ時に大切なことは、自分の依頼する税目について経験豊富な税理士を見つけるということです。
例えば、相続税の申告を依頼するのであれば、今までの相続税の申告件数が多い税理士へ依頼することが、失敗しない税理士選びの大切な要素の一つなのです。
こちらもオススメ業界人が教える【本当に相続税専門の税理士事務所】の見分け方
私たちが専門家をご紹介します
もし医療関係者自身が重大なケガや病気をした時に「私だったらあの人に診てもらいたい」という医者がいたら、知りたくないですか?
同じように相続税についても、もし相続業界関係者が「自分が相続税の申告を依頼するとしたら誰にお願いしたいか」を知りたくありませんか?
私たち相続業界の関係者は、秀でた医者をご紹介することは専門分野外なので残念ながらできませんが、専門分野の相続のことなら『自分だったらこの専門家に依頼したい』と思える【専門家が選ぶ専門家】をご紹介することができます。
誰が申告書を作成するかによって簡単に数百万円、数千万円の損失が生じてしまう相続税申告を、税理士選びでギャンブルにして欲しくないんです。
私たちがオススメする
☆税理士選びの専門家との無料相談をご希望の方☆
下記リンク《詳しくはこちら》からお気軽にお問い合わせください。