突然電話やDM(ダイレクトメール)で「相続税が戻ってきますよ」なんて連絡が来たことはありませんか?
たしかにちょっと前に相続が発生して相続税の申告はしたけど、一体どこから個人情報が漏れたのか不安になるし、そもそもコレって詐欺なんじゃないかって怖いですよね。
結論から言うと、相続税を取り戻すこと自体は詐欺ではなくそのような制度が存在しますし、個人情報の取得も法務局で誰でも取得できる情報を元に連絡しているんです。
ところが、安易に連絡してきた税理士に頼むと大きな損をするかもしれません。
この記事を読むと、
- どこから個人情報が漏れているのか
- 「相続税が戻ってくる」と電話してきた税理士を信頼していいのか
- どんな税理士に任せるべきか
これらについて、相続業界人の考え方がわかるようになります。
どうやって個人情報がバレた?
相続税の申告をしてしばらくすると、急に不動産会社や時には税理士から電話やDMがくることがあります。
これらの連絡は、主に相続によって不動産の名義が変更されたという情報をもとに行われます。
相続や売買で不動産の所有者が変わると、法務局で不動産の登記簿情報を変更する必要があります。
この情報を変更した登記簿は、実は法務局の提供する登記情報提供サービスというサイトで、誰でも日本全国の不動産等の情報を簡単に見ることができるのです。
土地・建物の登記簿を取得すると、主に次の情報がわかります。
- 登録されている不動産の地番(建物は家屋番号も)
- 現在の所有者の氏名、住所、取得日、取得原因、取得原因の発生月
- 過去の所有者の氏名、住所、取得日、取得原因、取得原因の発生月
例えばこんな風に知ることができるんです。
この様に「取得原因」が「相続」の不動産所有者に対して、DMを送ったり電話をかけたりしているのです。
もしかしたら個人情報を不正に売買しているケースもあるかもしれませんがそれは論外として、少なくともこの程度の情報であれば、数百円で合法的に入手することができるのです。
相続税専門 = 相続税還付専門
相続税の還付(税金を取り戻す)業務を行う税理士について、よくある勘違いがこちら↓です。
相続税還付を専門にしている税理士って、他の税理士が作った申告書を見直して申告し直すから、相続税の申告を専門にしている税理士よりも知識あるんでしょ?
たしかにこの考え方も一理あるんですが、必ずしもそうとは限りません。
その理由は2つあります。
- そもそも相続税の申告に強い税理士が少ない
- 相続税の「申告」も「還付」も実はやることは同じ
そもそも相続税の申告に強い税理士が少ない
相続税の還付手続きは、お客様自身で申告した申告書や他の税理士が作成した申告書を見直すことになりますが、そもそも相続税の申告を得意とする税理士が少ないので、そういった税理士が作成した相続税申告書には財産評価額の過大計上や、特例の適用ミス等が生じていることが多いのです。
なので、当初の申告を行なった相続税が苦手な税理士よりも少しだけ知識が上回っていれば、還付請求をして相続税を取り戻すことは可能なのです。
本当に相続税を専門としている税理士が作成した相続税申告書は、そもそも最初の申告の時点で一番低い相続税額を算出できているので、「納め過ぎた相続税」は発生せず、当然還付金も発生しないのです。
相続税の「申告」も「還付」もやることは基本的には同じ
相続税の還付を専門にしている税理士は、他の税理士が作った申告書を見直して申告し直すから、相続税の申告を専門にしている税理士よりも優れているのかというと、答えはNOです。
実は相続税の還付手続きというのは、普通に相続税の申告書作成ができれば出来てしまうものなのです。
なぜなら、「還付」だけ何か裏技のような特別な評価方法を用いて申告書を作成するわけではなく、「申告」も「還付」もどちらも同じ評価基準にのっとって申告書を作成するからです。
むしろ初めの申告の方が、全ての財産を細かく見なければならない分、作業量も多く、検討事項の判断も複雑で難解です。
【どっちが専門性高い?】当初申告 vs 還付
こんな質問は業界人同士の会話では絶対に出ないと言い切れるほど答えは明白です。
より相続税についての専門性が高いのは間違いなく「当初申告」をメインで行なっている税理士です。
理由は税理士の負うリスクの高さが関係してきます。
当初申告で税理士が負うリスク
万が一評価や特例の適用を間違えてお客様に損害を与えてしまった場合、お客様から訴えられて損害賠償をしなければならなくなる
税理士側に非がある場合には、お客様の損害について保障しなければならず、その為多くの税理士は万が一に備えて税理士賠償保険に加入しています。
還付手続きで税理士が負うリスク
ほぼナシ
はじめに申告した申告書の中で、評価が誤っているところや評価額を減額できそうなところを見つけることがメインの業務で、仮に税務署へ提出した申告書が間違っていたとしても、相続税が戻ってこないだけなので、お客様に損害を与えるわけではない為、基本的にはリスクはありません。
「当初申告」と「還付」にはこのようなリスクの違いがあるので、当初申告を専門で行なっている税理士は、きちんとした知識がないと怖くて「相続税専門」とは名乗りづらいのです。
一方で相続税還付を専門で行なっている税理士というのは、特段大きなリスクもない為、当初申告を専門に行なっている税理士と比べて知識が乏しく、財産の評価やチェック体制も杜撰なケースが多くなります。
還付の手続きについても細かい知識がある税理士に依頼した方が当然取り戻すことのできる還付金が高額になる可能性が高くなりますので、後述の《還付を任せられる税理士選び》を参考にしてください。
そもそも本来「相続税専門」という言葉には当初申告も還付請求も専門に扱っているという意味が込められているはずで、むしろ「相続税”還付”専門」と謳って専門範囲をリスクのない部分に狭めているのは、当初申告のリスクをとるだけの自信がないことの表れでもあると思われます。
簡単な見分け方としては税理士事務所のホームページを見た時に、相続税申告の実績をメインにアピールしている=相続税専門、相続税還付の実績だけを強くアピールしている=還付専門、ほとんどの場合これで見分けることができます。
還付を任せられる税理士の選び方
「相続税が戻ってくる可能性がある」と電話やDMがきたのであれば、少なくとも相続税を戻せる可能性は本当にあると考えた方がいいでしょう。
問題は「どの税理士に相談するか」ですが、実際に相続税申告の現場に携わる業界人が教える還付を任せられる税理士の選び方のポイントは次の通りです。
①相続税の申告実績が税理士個人レベルで累計300件以上
税理士事務所のホームページによくある書き方で「年間申告数〇〇件」との記載がありますが、重要なのは事務所全体の実績ではなく、担当する税理士個人の実績です。
今まで担当した相続税申告の件数が、概ね累計300件を超えていれば本物の相続専門税理士と呼べるでしょう。
②実績のある税理士が対応してくれる
初回の面談から申告まで、①で確認した実績のある税理士が対応してくれるか確認しましょう。
担当に別のアシスタントがついたとしても、質問などがある場合は直接実績のある税理士が受けてくれるのか、面談時に聞いてみることをオススメします。
問い合わせの電話はもちろん、初回の面談から業務が完了するまで1度も声も姿もみせないワンマン殿様商売の税理士もいるので気をつけましょう。
③「税理士事務所」ではなく「税理士法人」
どんなに優れた税理士が担当したとしても、人間ですから間違いは起こります。
その間違いを極力減らすためには、しっかりとしたチェック体制が整っていることが最低条件となります。
複数の責任ある税理士にチェックしてもらえるように、「税理士法人」を選ぶようにすると良いでしょう。
事務所の人数が大規模(概ね50名以上)なのにも関わらず「〇〇税理士事務所」のままのところは、所長税理士に何か他の税理士と共同経営できない”事情”があると判断し、避けた方が無難です。
※「税理士法人」とは、社員税理士が2名以上で共同経営している事務所のことで、「税理士事務所」は個人事業主つまりワンマン経営の事務所のことです。
まとめ
法務局で誰でも見ることができる情報をもとに連絡してると言われても、急に「税金が戻ってくる」なんて怪しい連絡が来たら決して気分の良いものではありませんよね。
もしそんな連絡があってこのページをご覧になっているのだとしたら、税理士選びさえ間違わなければ本当に払った相続税を取り戻すことができるかもしれません。
払いすぎた時と同様、戻ってくる税金が適正値よりも少なかったとしても、誰も教えてくれませんし、あなたも知らぬ間に損してしまうことになりかねません。
「本物の専門税理士に依頼すれば500万円取り戻せたのに、適当に依頼してしまったが為に100万円しか取り戻せなかった」なんてことがないように、しっかりとポイントを抑えて税理士を選びましょう。
本記事のまとめ
- DMや電話の情報は法務局(登記情報提供サービス)で合法的に取得している
- 相続税の「申告」が専門の税理士は当然「還付」もできる
- 「”還付”専門」 ≦ 「”相続税”専門」(HPの実績で見分ける)
- 当初申告に比べ、税理士には還付手続きでのリスクはほぼない
- 依頼する条件 ①個人で300件の実績 ②税理士対応 ③税理士法人
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