相続税の申告ではじめて税理士と関わる方は非常に多いです。
ところが、いざ相談してみようとインターネットで検索すると、「税理士事務所」と「税理士法人」の2パターンあることに気が付き、両者の違いがよくわからないまま相談してしまうケースも非常に多いようです。
本記事では「税理士事務所」と「税理士法人」の違いをわかりやすく解説し、実際に相続税業界で働いてきた業界人の目線から、相続税の申告で選ぶべきはどちらかをお伝えします。
本記事でそれぞれのメリット・デメリットを理解し、相続税申告に最適な税理士選びに活かしましょう。
税理士事務所と税理士法人の違い
「税理士事務所」も「税理士法人」もひっくるめて、どちらも税理士事務所と呼ぶことが非常に多いのですが、厳密にはそれぞれの性質は異なります。
「税理士事務所」と「税理士法人」の大きな違いは、税理士の数です。
税理士事務所は税理士が一人で始めることが可能ですが、税理士法人は二人以上の税理士がいないと作ることができないのです。
つまり、従業員の人数に関わらず、税理士事務所(よく「個人事務所」と呼ばれます)は責任を負うのが一人の税理士のみであり、税理士法人は複数の税理士が連帯責任を負うことになります。
法人化しない税理士のパターン
長く税理士業界内部を見てきた経験上、個人事務所(税理士事務所)のままで税理士法人にしない税理士には大きく分けて3パターンありました。
(※税理士を含む士業事務所と提携関係を結ぶために、200以上の士業事務所で直接お話しさせて頂いた経験上感じた印象です。)
- 【パターン1】独裁色が強く、その体勢を維持したい
- 【パターン2】優秀であるがゆえに、自分以外の税理士を信頼できない
- 【パターン3】一国一城の主として自由にやっていきたい
特に【パターン1】の税理士は非常に多い印象があります。
【パターン2】の税理士は、知識・経験豊富で本当に優秀な方(ごく一部)と、自称優秀な方(その他大勢)がおりましたが、業界で長く働いていた経験のある人でないと見分けるのはほぼ不可能だと思います。(基本的に【パターン2】は自信満々で喋る方が多いので)
【パターン3】は地元民相手にひっそりと営んでいて、事業を拡大することよりも安定を求めるタイプの税理士です。
知識や能力的には可もなく不可もなく、無難な申告書を作成する印象です。
税理士事務所と税理士法人のメリット・デメリット
では、税理士事務所(個人事務所)と税理士法人、相続税の申告を依頼するならどちらの税理士が良いのでしょうか。
ここからは、税理士事務所と税理士法人のメリット・デメリットについて見ていきましょう。
税理士事務所(個人事務所)
メリット
- 代表税理士が直接担当してくれるから安心感がある
- 代表税理士の知識・経験が豊富だとその恩恵を直に受けることができる
デメリット
- 税理士のチェックは一回のみの為、申告書の精度は代表税理士の腕次第
- 税理士がほとんど申告書に目を通さないところもある
- 代表税理士が忙しいとなかなか連絡がつかない
- 万が一代表税理士に何かあったら、申告自体ができなくなってしまう
税理士事務所は少人数で運営している事務所が多いので、どうしても代表税理士のレベル=事務所のレベルになりやすいのです。
税理士法人
メリット
- 会社でいう取締役にあたる税理士が複数おり、チェック体制が整っている
- 代表税理士に何かあっても、組織として責任の取れる税理士が複数いるので申告は問題なくできる
デメリット
- 接客担当と申告書作成担当が別の人だと、伝えたことがうまく反映されないことがある
- 接客担当は税理士ではないケースがほとんどで、能力に大きなバラツキがある
- 税理士が一度も表に出てこないことがよくある
税理士法人は人数を活かしてチェック体制がきちんと整っていることが多いのですが、代表税理士が知識の乏しい場合、全体的にレベルの低い事務所になってしまうところは個人事務所と似ています。
相続税申告の依頼をするならどっち?
相続業界で働く業界人が依頼するとしたら、税理士事務所・税理士法人の違いには関係なくピンポイントで「〇〇さん」と名指しで信頼できる税理士を選びますが、もしも信頼できる税理士がまだいなかったとしたら・・・税理士法人に依頼します。
税理事務所(個人事務所)ではなく税理士法人に依頼する理由は3つあります。
税理士事務所ではなく税理士法人に依頼する理由
①チェック体制が整っている
相続税の申告書作成というのは、たとえどんなに知識や経験がある税理士が作成したとしても、必ずどこかに誤りが生じます。
それだけ財産評価の項目は多岐にわたり、経験を積んだいわゆる「デキる税理士」ほどケアレスミスの怖さを知っています。
一つの申告書を複数人でチェックする体制が整っていることがケアレスミスを防ぐことにつながる為、複数の責任ある税理士が在籍している税理士法人の方が安心です。
②申告までの期間がスピーディ
個人事務所の場合、どうしても税理士法人と比べると人数が限られているケースが多くなります。
所内作業だけではなく、土地の現地調査や役所調査が必要となることの多い相続税の申告書作成は、他の税目と比べても特に時間のかかる工程が多いので、一つの申告書作成に複数の人員を割ける税理士法人の方が、依頼から申告までスピーディに対応してもらえる可能性が高くなります。
③ 万が一に対応できるのは税理士法人
相続税の税務調査は、申告書を提出してから1〜3年以内に調査に入ることが多いのですが、万が一この時に代表税理士が亡くなっていたり、何らかの理由で業務ができる状態ではない場合、その個人事務所での対応はできなくなってしまいます。
しかし税理士法人であれば、事務所のハンコを押せる税理士が複数人いるので、たとえ代表税理士がいなくなったとしても業務を引き継ぐことができます。
個人事務所の税理士事務所は「個人事業主」なので、代表の税理士がいなくなると業務を続けることはできなくなりますが、税理士法人は「法人」なので会社の取締役のように責任を取れる立場の税理士が複数人在籍していいるので、そのうちの一人に万が一のことがあっても税理士法人として業務を継続することができるのです。
結局は担当者個人の能力によるところが大きい
相続業界のことを何も知らない状態で税理士選びをする場合は、総合的に考えれば個人事務所よりも税理士法人を選んだ方が安心かとは思います。
ただ、最近では猫も杓子も「相続税」に手を伸ばしているというのが実情です。
税理士の制度上「税理士」であれば、たとえ相続税の試験を受けずに税理士資格を取得していたとしても、相続税の申告を一度も経験したことがなかったとしても、「相続税専門です」と言うことができてしまいます。
税理士法人で税理士が複数集まっていたとしても、税理士の中では非常にメジャーな法人税ばかり経験してきた税理士がいくら集まったところで、個人で相続税申告を500件申告したことのある税理士には敵いません。
とはいえ、相続税業界に精通している人間でないとなかなか相続税に詳しい税理士の見分けはつきにくいものです。
ほんの少しの違いで簡単に数百万円の納税額の差が生じてしまうこともよくある相続税では、税理士選びこそがすべてです。
お亡くなりになられた方の遺して下さった財産を必要以上に税金として納めてしまわないためにも、正しい税理士選びのお手伝いができれば幸いです。
私たちが専門家をご紹介します
もし医療関係者自身が重大なケガや病気をした時に「私だったらあの人に診てもらいたい」という医者がいたら、知りたくないですか?
同じように相続税についても、もし相続業界関係者が「自分が相続税の申告を依頼するとしたら誰にお願いしたいか」を知りたくありませんか?
私たち相続業界の関係者は、秀でた医者をご紹介することは専門分野外なので残念ながらできませんが、専門分野の相続のことなら『自分だったらこの専門家に依頼したい』と思える【専門家が選ぶ専門家】をご紹介することができます。
誰が申告書を作成するかによって簡単に数百万円、数千万円の損失が生じてしまう相続税申告を、税理士選びでギャンブルにして欲しくないんです。
私たちがオススメする
☆税理士選びの専門家との無料相談をご希望の方☆
下記リンク《詳しくはこちら》からお気軽にお問い合わせください。