なくなった人を弔う時には、お寺や教会など、亡くなられた方と関わりのある宗教団体へお布施を支払って弔ってもらうことが多いかとおもいます。
相続税の計算では、そのような宗教上の慣習に基づく支払いは、相続財産の金額から控除できることになっています。
《相続税法基本通達》を確認してみましょう
相続税法について、管轄行政ごとに判断が異なることのないように、国税庁が法規の解釈や運営方針等について指図している《相続税法基本通達》を見てみましょう。
※相続税法基本通達は厳密には法規ではありませんが、実務上、相続税法をどのように解釈するかの判断をするのに非常に重要になってきます。
相続税法基本通達で、葬式費用は次のように記載されています。
第13条《債務控除》関係
(葬式費用)
13-4 法第13条第1項の規定により葬式費用として控除する金額は、次に掲げる金額の範囲内のものとする。(昭57直資2-177改正)
(1) 葬式若しくは葬送に際し、又はこれらの前において、埋葬、火葬、納骨又は遺がい若しくは遺骨の回送その他に要した費用(仮葬式と本葬式とを行うものにあっては、その両者の費用)
(2) 葬式に際し、施与した金品で、被相続人の職業、財産その他の事情に照らして相当程度と認められるものに要した費用
(3) (1)又は(2)に掲げるもののほか、葬式の前後に生じた出費で通常葬式に伴うものと認められるもの
(4) 死体の捜索又は死体若しくは遺骨の運搬に要した費用
戒名料の取り扱い
仏教では人が亡くなるとお寺から「戒名」を頂くことになります。
頂くといってもほとんどの場合、戒名をつけていただいたお寺さんへお布施を支払います。
このお布施のことを一般的に「戒名料」といって、その金額は30万円〜150万円程度と、金額には定がなくバラつきがあります。
戒名料は相続税法基本通達の中の「(1)又は(2)に掲げるもののほか、葬式の前後に生じた出費で通常葬式に伴うものと認められるもの」と考えられます。
葬式の前後に生じた宗教や地域の慣習に基づく出費は控除対象とすべきとの意図が、立法趣旨にも記されています。
仏教では、亡くなった方の戒名を頂いたお寺さんへお布施を支払うことが一般的な慣習であるため、葬式費用として相続財産から控除できるものとして扱われます。
キリスト教・神道の場合
キリスト教や神道、その他の宗教も基本的には、葬式の前後に生じた宗教や地域の慣習に基づく出費であれば相続税の控除対象となります。
キリスト教は神父さんへの「献金」、神道であれば神社・神官に対して「御祭祀料」を支払うのが一般的な慣習となっていますので、これらの出費はお布施と同様に相続財産から控除できると考えることができます。
どの宗教にも、その宗教ごとに故人を弔う儀式があり、相続人がその費用を支払うことがほとんどですが、その宗教ごとに通常の葬儀でかかるであろう費用は控除対象となります。
しかし、社会通念を超える範囲で支払われた葬式の費用は控除することができませんので、注意が必要です。
領収書は捨てずに保管しておくこと
以前は「お布施の領収書はもらってないよ」という相続人の方が多かったのですが、最近では支払ったお布施等に対して領収書を発行してくれるお寺や教会も増えているようで、領収書をご用意頂ける方が増えてきました。
葬式費用として葬儀屋へお支払いになった費用の領収書はもちろん、お寺や教会に支払ったお布施等の領収書も大切に保管しておきましょう。
領収書がもらえない場合
最近では領収書を発行してもらえるところが多くなってきたとはいえ、まだまだ100%というわけではありません。
もしもお布施を支払っても領収書がもらえなかった場合は、支払った金額をメモに残しておくようにしましょう。
「メモでいいなら適当な金額を記入しよ」なんて人はいないと思いますが、もしもメモに記載した金額が実際に支払った金額よりも過大に申告した場合には、税務調査(税務署は宗教法人の収入と相続人が支払ったお布施の金額が一致しているかどうかを調査することも可能)で指摘を受けかねませんので絶対にやめましょう。
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